関ケ原、夏の終わりを告げるひぐらし。
その歌が、これほど美しいものだとは知らなかった。
なんども前を通りながら詣でられずにいた神社の鳥居を、
はじめてくぐった。
縁とはしみじみ不思議なもの。
少し離れて届く夏祭りの音に、人々との出会いを思う。
神様に手を合わせるのと、浮かぶたくさんの笑顔に手を
合わせるのと、それはおんなじことだった。
音楽の中心、心臓、魂とは、歌に他ならない。
それが、学んだすべてだったのだ。
すべて、うた。
スベテウタ、と、呪文のように繰り返す。
あ、リトルネロ…。
輪が、空へと広がっていく。
